― 達成イメージの高さがあれば ―
やみくもに「良いものをつくろう」とお考えではありませんか?
ひょっとしたら「良いもの」のイメージが間違っているのかもしれません。
自動車の世界では、私が最初に描いた良いクルマと、海外メーカーとお付き合いした後の良いクルマの達成イメージは違っていました。
当初、良いクルマとは、「気持ちよくコーナーを曲がりロールが少なく、それでいて乗り心地が良い。」だと思っていました。
このイメージの中には、最初からいくつかの決めつけがあります。
それは、
1. コーナリングこそが良いクルマの価値観である。
2. ロールが少ないことが良いクルマである。
3. ロールが少ないクルマは、サスを固くするしかないはずだから、乗り心地が悪いはずだ。
の三つです。
なぜかというと、最終的にわかったことですが、
1. 最初にコーナリングを評価するのではなく、まずはきちんとまっすぐ走るかどうかが大切。
2. ロールで評価するのではなく、正しい操舵応答があれば、ロールは適切になるということ。
3. ロールを減らすには、サスを固くするしかないと思い込んでいるが、そうでもない。
どうです。
殆どの皆さんは、この3つにたどり着けていないと思います。
つまり、出発点が違えば、永遠にもっと良いクルマに到達できないことになります。
では、出発点が皆さんと同じであった私が、なぜこの3つにたどり着けたのでしょう。
それは、自分たちの技術を国内外に売り歩き、一流の人々と交流し、ある結論を導き出せたからです。
それが具体的な高い達成イメージとなり、それを実現する手段を考えることが容易になったからです。
そういう意味でも、もがきにもがいて正しく「高い達成イメージ」にさえ到達できれば、半分以上結果が出たようなものです。