― 常識の間違い ―
サスペンションは減衰力が命! だとエンジニアは誰もが思っています。
ところが、他社のあるえらいドライバーさんのアドバイスで、減衰力を完全にゼロにしたものを作って装着し、それはそれは恐る恐る走り出しました。
サスペンション全体では、ある程度のフリクション(わずかな減衰力としても機能している)はあるのだが、問題なく走ってしまいます。さすがに大きなうねりがあると、教科書通りバネ上のあおりが止まらず怖い思いをしますが、問題はほとんどといっていいほどロールを感じないのです。ほとんどのエンジニアは「減衰力がないと、コーナリングでロールが大きくなって危険」と思い込んでいないでしょうか。色々な自動車雑誌でもロールが気になると、「もう少し減衰力を上げた方が良いかもしれない。」というような文章を目にします。
ところが現実は真逆でした。減衰力がないことによってステアリング応答が下がったからロールしないのだとも思いましたが、意外とちゃんと曲がるのです。
この先の分析も進んで、それが次世代のシステムの応用できていますが、それはここでは秘密にしておきます。
つまり、REASやパフォーマンスダンパーという未知の技術開発に携わることによって、なぜ技術開発がなかなか進まないのかが、自動車工学的に見えてくるようになったのです。